No.50 北山川の筏流し技術
きたやまがわのいかだながしぎじゅつ
番号 | No.50 |
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登録年度 | 2022年度 |
認定対象 | 筏による流送技術 |
分類・形式 | 技術体系 |
成立年代 | 16世紀前半 |
所在地 | 和歌山県東牟婁郡北山村大字大沼87 |
所有・管理者 | 北山振興株式会社 |
連絡先 | forestryheritage.jp@gmail.com |
北山川の筏流しは、大台ケ原を源流とする北山川水系において、16世紀ごろより昭和30年代まで継承されてきた木材流送の技術である。最盛期の年間流送量は、十津川筋とあわせて「熊野川筏百万石」といわれた。また、筏師の数は和歌山県北山村だけで数百人に達し、筏による流送は地域の林業を大きく支えていた。戦後も筏は1日100乗ほど流され、復興に寄与したとされている。しかし、河川を利用した木材の流送は道路網整備によるトラック輸送への転換や、大規模なダム開発によって全国的に衰退し、北山川水系では昭和38年5月の筏流しが最後となった。
筏による流送は、「筏を組む技術」と「筏を流す技術」からなり、近代以前の木材流通の主役であった。北山川における筏流しは、その中でも長い歴史を持ち、大規模に行われ、発達した職能集団を抱えてきたという点で、代表的な存在であり、北山川流域の林業とともに重要な価値をもつ。さらに、その技術は昭和54年8月より開始した「観光筏下り」に引き継がれ、今日なお保存・継承されている。北山川の筏流しは、伝統的な筏流しの姿を今に伝える全国唯一の例であり、そこで使われている技術も、熊野地域の林業の歴史と伝統を今日に伝えるものである。これらの点から「林業遺産」とする価値が認められる。