第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 2023年3月26日
開始時刻 14:15
会場名 Room 1
講演番号 F6
発表題目 スギの適応遺伝変異の空間分布と気候変動への応答可能性評価
Climate-associated genetic variation in Cryptomeria japonica and assessment of its potential response to climate change.
要旨本文  気候変動への樹木種の応答反応の理解は、森林生態系の安定性に関わる重要な課題である。しかしながら、広い環境幅の中で局所適応している樹木種の環境への応答は種内でも一様ではなく、その理解と予測を難しくしている。本研究では、適応遺伝変異と環境値との空間モデリングを行う景観ゲノミクスの手法を用いて、以下の問いに答えることを目的とした。1)スギにとって局所適応を促す主要な気候要因は何か?2)将来気候下で適応度が低下する地域はどこか? 全国のスギ天然林22集団224個体について、環境値との関連が認められた2,763 SNPを解析に用いた。各SNPのアレル頻度と13の生物気候変数(World Clim v2.0)との関係をGradient Forestによりモデル化した。その結果、スギの適応遺伝変異を説明する要因として、気温の季節変動、冬季の気温・降水量などが上位にランクされた。また、2030、2050、2090年時の気候下でのgenetic offset(GF:遺伝的不適合性)を算出したところ、東北地方の低地から中部山岳地帯の中山間地域にかけて、GFが徐々に高まることが予測された。
著者氏名 ○内山憲太郎1 ・ 中尾勝洋2 ・ 津村義彦3
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所 ・ 3筑波大学生命環境系
キーワード 適応遺伝変異, 空間モデリング, 適応度, 温暖化
Key word adaptive genetic variation, spatial modelling, fitness, global warming