第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 2023年3月26日
開始時刻 15:00
会場名 Room 1
講演番号 F8
発表題目 トドマツ成木の冠雪害抵抗性に関連する力学特性及び形態特性の産地間変異
Provenance variation in snow damage resistance in Sakhalin fir
要旨本文 近年、北海道では多雪域の日本海側で少雪化が進む一方、少雪域のオホーツク海や太平洋東部では湿雪化や暴風雪頻度が増加している。このため、北海道に天然分布し、局所適応を示すトドマツでは、地域によって新たな気象害の発生が懸念される。本研究では冠雪害抵抗性の種内変異を、天然林に由来するトドマツの産地試験で調べた。1967年に設置された北広島市の産地試験地において、由来産地の冬の環境が異なる4産地を対象とした。冠雪害抵抗性の指標である形状比に加え、強度に関わる幹の応力波伝播速度を評価した。また、主幹から直接分枝し通直に伸びる枝を採取し、そのヤング係数、輪生枝密度、葉の長幅比を評価した。由来産地の冬の環境情報と形質の相関関係から冠雪害抵抗性との関連性を評価した。形状比、幹の応力波伝播速度、輪生枝密度、針葉の長幅比は産地間で異なっていた。一方、枝のヤング係数には有意な違いが認められなかった。相関解析の結果、針葉の長幅比は11月と12月の降雪相当水量と有意に正の相関を示した。以上の結果から、トドマツ成木の葉の形態特性は産地間で変異し、初冬の降雪環境に対する適応関連形質である可能性が示唆された。
著者氏名 ○菅井徹人1 ・ 石塚航2 ・ 澤田圭3 ・ 北村系子1
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所 ・ 2北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場 ・ 3北海道大学大学院農学研究院
キーワード 局所適応, 枝, ヤング率
Key word Local adaptation, Branch, Young's modulus