第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

立地部門[Forest Environment]

日付 2023年3月27日
開始時刻 9:00
会場名 Room 5
講演番号 I1
発表題目 放射性炭素を利用した微生物呼吸の年代とその影響因子の評価
Estimating the age of heterotrophic respiration and its influence factors using radiocarbon
要旨本文 森林土壌には数百年から数千年以上の長期間安定に存在する有機物が存在している。地球温暖化の影響で長期間滞留している土壌有機物の分解が加速しCO2として放出されれば、地球の炭素循環のバランスが崩れる可能性がある。本研究では温暖化操作実験を行っている日本国内の5ヶ所の森林で微生物呼吸中の放射性炭素同位体比(Δ14C)を測定し、微生物呼吸の炭素年代を明らかにするとともに、温暖化操作によりその起源がどのように変化するかを調査した。微生物呼吸のΔ14C値は北海道の泥炭土壌サイト(天塩サイト)と他のサイトで異なる傾向を示し、天塩サイト以外では表層リターの値に近く、リター層量との間に相関が見られた。一方で天塩サイトでは、微生物呼吸のΔ14Cは負の値を示し、より深い層の古い有機物が分解されていることが明らかになった。そのΔ14C値は採取日前の降雨量と対応した変動が見られ、地下水位が上下することで、微生物呼吸の起源が変化している可能性を示した。温暖化区と非温暖化区における微生物呼吸のΔ14Cの比較では、温暖化区でより古い有機物が分解放出されている傾向があるものの、有意な差は認められなかった。
著者氏名 ○安藤麻里子1 ・ 小嵐淳1 ・ 梁乃申2 ・ 高木健太郎3 ・ 近藤俊明4 ・ 平野高司5 ・ 寺本宗正6 ・ 高木正博7 ・ 石田祐宣8 ・ 市井和仁9 ・ 孫力飛2 ・ 國分陽子1 ・ 藤田奈津子1
著者所属 1日本原子力研究開発機構 ・ 2国立環境研究所地球環境研究センター ・ 3北海道大学北方生物圏フィールド科学センター ・ 4国際農林水産業研究センター ・ 5北海道大学大学院農学研究院 ・ 6鳥取大学乾燥地研究センター ・ 7宮崎大学農学部 ・ 8弘前大学大学院理工学研究科 ・ 9千葉大学環境リモートセンシング研究センター
キーワード 微生物呼吸, 放射性炭素, 温暖化操作実験, 土壌有機炭素
Key word heterotrophic respiration, radiocarbon, warming experiment, soil organic carbon