第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2023年3月26日
開始時刻 13:00
会場名 Room 6
講演番号 M1
発表題目 マツ類における樹脂滲出調査の適用可能時期の検討
Applicability of the resin-exudation test in pine trees under descending temperature
要旨本文 マツ類樹木での樹脂滲出停止はマツ材線虫病の進展過程において針葉変色に先駆けて生じる明瞭な病徴であり、感染・罹病を確認する際の重要な診断項目となっている。一方、樹脂滲出能は木の生理状態によっても変動し、寒冷期に低下することが分かっており、冬季はマツ材線虫病診断のための樹脂滲出調査には不適とされる。しかし、不適となるのが具体的にどのような温度条件なのかは明らかにされてこなかった。そこで、マツ材線虫病の発生のない岩手県盛岡市厨川で、秋から冬にかけて若齢のクロマツ・アカマツ植栽木およびアカマツ老齢大径木の樹幹部に定期的にポンチで穴をあけ、樹脂滲出を調べた。樹脂滲出は気温の低下とともに減少する傾向が明確であったが、アカマツよりクロマツ、老齢木より若齢木で多く、個体間でのばらつきも小さくなかった。しかしながら、穴あけより3日~1週間以前の最低気温が5~10℃を下回るまでは樹種、樹齢、個体によらず高い滲出能が維持されていた。このことから、マツ材線虫病診断のための樹脂滲出調査の条件として「3日以上にわたり最低気温が10℃を下回らないこと」を暫定的に提案する。
著者氏名 ○中村克典 ・ 小澤壮太 ・ 綾部慈子
著者所属 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
キーワード マツ材線虫病, 診断, 樹脂, 季節性, 気温
Key word pine wilt disease, diagnosis, oleoresin, seasonality, temperature