第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

林政部門[Forest Policy]

日付 ポスター発表
講演番号 P-004
発表題目 林政学分野における「予定調和」論再考
On "wake theory" in the field of forest policy studies
要旨本文 森林のもつ多面的機能に関する議論は19世紀に遡り、近代化過程における荒廃地復旧事業の展開用材生産技術の発展とともに、いわゆる公益的機能との関わりが明示的に展開されるようになった。森林の諸機能は健全な林業経営と両立可能であるとする説は日本では「予定調和」論と呼ばれるが、その語源を Pisotoriusら(2012)の浩瀚なレビューや、Krott(2001)、Hasel(1971)など多くの文献により辿ると、第二次大戦後にRupf(1960)が言語化した Kielwassertheorie (航跡理論、"wake theory")であると考えられる。その後、いくつかの画期を経て、森林施業の技術論、機能階層構造、機能とサービスの区別、通常のサービスと特別なサービスの区別、担い手との関係、公的助成とのリンク、所有権の範囲や参照点についての議論など、今日の環境サービスへの支払い(PES)論につながる多くの議論が展開されている。小論は、航跡理論をめぐる学説史を再考するものである。
著者氏名 ○Furuido, Hiroichi
著者所属 東京大学大学院農学生命科学研究科
キーワード トレード・オフ, 持続可能性, 両立可能性, 持続可能な森林経営, 航跡理論
Key word trade-off, sustainability, compatibility, sustainable forest management, wake theory