第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

造林部門[Silviculture]

日付 ポスター発表
講演番号 P-103
発表題目 標高の異なるヒノキ林において間伐が葉量と幹成長量に及ぼす影響
Effects of thinning on leaf biomass and stem biomass production in hinoki cypress plantations at different elevations
要旨本文 ヒノキ人工林において間伐後の葉量の回復過程を明らかにすることが求められる。しかし、温度条件が間伐後の葉量の回復と幹生産の関係に及ぼす影響は明らかでない。本研究では、高知県の標高の異なる5地域において間伐強度の異なる調査区を設定し、間伐後10年間の樹冠葉量の回復と幹成長の関係を明らかにした。樹冠葉量は、パイプモデルに基づく簡易手法(パイプ法)によって推定した。その結果、ヒノキの個体あたりの葉量の増加率と収量比数には負の直線関係が認められ、標高が低い地域ほど増加率が大きかった。ヒノキの個体あたりの幹現存量増加率と収量比数にも同様の直線関係が認められたが、回帰直線の切片は中程度の標高で大きく、高標高や低標高地域では小さかった。この結果は、温暖な地域では葉量の回復が速やかであるものの、葉量当たりの幹生産量は低下することを示唆した。収量比数と葉量当たりの幹生産量の関係は地域によって異なっており、寒冷な地域や強風の影響を受けた地域では間伐による幹成長促進効果が限定的であった。これらの結果より、パイプ法は地域ごとの間伐による幹生産促進効果を定量的に評価するうえで有効であることが示された。
著者氏名 ○稲垣善之1 ・ 深田英久2,3 ・ 中西麻美4 ・ 渡辺直史2
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 ・ 2高知県立森林技術センター ・ 3高知県 ・ 4京都大学フィールド科学教育研究センター
キーワード 標高, 葉量, 幹成長, ヒノキ, 間伐
Key word elevatgion, leaf biomass, stem increment, hinoki cypress, thinning