第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
講演番号 P-171
発表題目 スギゲノム参照配列を用いた雄性不稔遺伝子(MS3)候補遺伝子の同定
Identification of male sterility gene (MS3) using genome reference sequence of Cryptomeria japonica
要旨本文  無花粉スギは、花粉を飛散しないため花粉症対策に有効である。無花粉スギでは花粉形成に関連する遺伝子(雄性不稔遺伝子)に異常があるため成熟した花粉を作ることができない。現在までに4つの雄性不稔遺伝子が同定され、そのうちの2つの遺伝子(MS1およびMS4)は塩基配列の欠失および置換により機能を失ったと推定されている。本研究では、スギの参照ゲノム配列(藤野ら、本大会)を活用することで、雄性不稔遺伝子MS3を同定した。161個体の戻し交配家系での連鎖解析の結果、MS3遺伝子座を1.25 cMの範囲に絞り込んだところ、chr1(第1染色体)の3.98 Mbpの範囲に存在する77個の遺伝子に絞り込まれた。原因遺伝子が雄花で発現する遺伝子で、有害な突然変異を持つと仮定しRNA-Seq法で探索した結果、MS3の無花粉スギ系統でアミノ酸置換によりタンパク質の正常な機能が阻害されると推定される1個の遺伝子を見出した。この遺伝子は相同性検索の結果、シロイヌナズナのアシルCoA合成酵素(ACOS5)との類似性が高く、シロイヌナズナの変異体は雄性不稔を示すことから、MS3の原因遺伝子として可能性が高いと考えられた。
著者氏名 ○上野真義1 ・ 長谷川陽一1 ・ 鶴田燃海1 ・ 伊原徳子1 ・ 宮澤真一1 ・ 角井宏行2 ・ 岩井淳治3 ・ 平山聡子4 ・ 藤野健5 ・ 山口勝司6 ・ 鈴木穣5 ・ 豊田敦7 ・ 重信秀治6 ・ 笠原雅弘5 ・ 森口喜成2
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域 ・ 2新潟大学大学院自然科学研究科 ・ 3新潟県森林研究所 ・ 4新潟県新潟地域振興局 ・ 5東京大学大学院新領域創成科学研究科 ・ 6基礎生物学研究所超階層生物学センター ・ 7国立遺伝学研究所先端ゲノミクス推進センター
キーワード 雄性不稔, ゲノム参照配列, スギ
Key word male sterility, genome reference sequence, sugi