第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
講演番号 P-176
発表題目 SSRマーカーによるキハダの系統地理学的解析
Phylogeographic analysis of Phellodendron amurense using SSR markers
要旨本文 キハダは北海道から九州に広く分布する落葉高木で、生薬の原料となる薬用樹木の一つであり、比較的成長が早いため木材としての利用にも期待が持たれている。本研究ではキハダの系統地理的遺伝構造をSSRマーカー7座によって評価した。全国から収集された220個体および日韓技術交流によって入手した韓国由来の10個体を解析した。遺伝距離Daを使用した近隣結合法による系統樹では、北海道・東北・新潟・長野北部、北陸・中国地方、本州太平洋側・四国・九州・韓国がそれぞれ比較的まとまったクレードを形成した。STRUCTURE解析では最適クラスター数K=2となり、北海道・東北・新潟・長野北部ではクラスター1、本州太平洋側・四国・九州・韓国ではクラスター2の個体が優勢であった。一方、北陸・中国地方では両クラスターの個体が混在し、割合が中間的な個体がみられた。以上の結果から、1)大陸北部と朝鮮半島から日本列島に移入した2系統が異なる経路で分布拡大した可能性、2)1つの経路で日本へ移入した後、積雪や気温など日本海側と太平洋側の環境勾配に適応した結果、2系統に分化した可能性が考えられる。
著者氏名 ○稲永路子1 ・ 武津英太郎1 ・ 平尾知士1 ・ 織部雄一朗1 ・ 磯田圭哉2 ・ 山田浩雄1
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター関西育種場
キーワード キハダ, 系統地理, マイクロサテライトマーカー
Key word Amur corktree, Phylogeography, Microsatellite Marker