第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
講演番号 P-180
発表題目 広域産地試験の九州試験地における国内アカマツ集団の雌雄開花の早晩性
Flowering fenology of pollen and seed cones of Pinus densiflora in a provenance test site in Kyushu
要旨本文 アカマツは日本の主要針葉樹の一つであるが、近年マツ材線虫病被害の拡大により天然資源が減少し、各地域で遺伝的多様性の喪失が危惧されている。地域集団の遺伝子保存のためには、人為的に移動させて保存する生息域外保存が有効であるが、そのためには、移動先での成長・生存力の評価とともに、自立的な集団維持(更新)力に直結する繁殖(着花)特性の応答性評価が不可欠である。林木育種センターでは青森県から宮崎県までの全国10産地の有名アカマツ天然林から採種した50実生家系を共通環境下で育成する広域産地試験を進めており、これまでに球果の着生量や着生開始齢等に地理的クラインが認められている(岩泉ら 2021;2022)。しかしながら、交配実態に影響する開花の早晩性(フェノロジー)に関する適応的遺伝変異の知見は少ない。本研究では、熊本県合志市に植栽されたアカマツ広域産地試験地で2ヶ年にわたり雌雄の開花における早晩性を調査し、その家系間差や地理的傾向について解析した。その結果、いずれの調査年次でも西南日本の家系ほど雌花の開花が有意に早い傾向が認められた一方で、雄花の開花早晩性には一貫した地理的傾向は見られなかった。
著者氏名 ○岩泉正和1 ・ 栗田学2 ・ 木村恵2 ・ 那須仁弥3 ・ 磯田圭哉4
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター九州育種場 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター東北育種場 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター関西育種場
キーワード アカマツ, 広域産地試験, 早晩性, 雄花, 雌花
Key word Pinus densiflora, provenance test, fenology, pollen cone, seed cone