第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 ポスター発表
講演番号 P-195
発表題目 トドマツコンテナ苗の育苗期間短縮に向けた取り組み
Growing container Sakhalin fir seedling in shortened production time
要旨本文 慣行栽培の場合、トドマツコンテナ苗は出荷まで4年を要する。育苗期間は生産コストに直結するだけでなく、長いほど気象害リスクの上昇を招くことから期間の短縮が求められている。慣行栽培(播種床2年+330 ccコンテナ2年)では移植時に根系を切り詰める必要があり、移植当年の伸長が減少する。本報告では根系の損傷が少ない育苗方法によってトドマツコンテナ苗を育成し、成長を評価した。苗高伸長量は330 ccコンテナに直接播種した場合に最大となり、3年生時で90%が出荷規格に到達した。慣行栽培の3年生時では4%だった。セルトレイ(24 cc)や小型コンテナ(50 cc)に播種し、根鉢を保ったまま330 ccコンテナに移植したところ、いずれも3年生時に70%以上が出荷規格に到達した。移植後の苗木を比較すると、慣行栽培では葉面積に対する根表面積や、葉面積あたりの蒸散量が小さかったが、小型コンテナでは直接播種と同程度の値となり、移植に伴う根の切除が個体の水収支に影響を及ぼしている可能性が示唆された。トドマツコンテナ苗の育苗期間は3年へ短縮が可能であると考えられる。成長とコストを両立する育苗方法については今後さらに検討を進める予定である。
著者氏名 ○成田あゆ ・ 今博計 ・ 来田和人
著者所属 北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
キーワード コンテナ苗, トドマツ, 育苗期間, Abies sachalinensis
Key word Container seedlings, Sakhalin fir, nursery production time, Abies sachalinensis