第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-214
発表題目 南根腐病に罹病した苗木の通水機能および気孔反応特性
Hydraulic and stomatal response in the tree seedlings infected by brown root rot
要旨本文 南根腐病は熱帯地域で発生する樹病で、担子菌のシマサルノコシカケ(Phellinus noxius)が樹木の根に侵入することで感染し、根や葉が枯損し枯死に至る。元来、本病の枯死の要因は根の腐朽により吸水が阻害されることであるとされていたが、先行研究より罹病木の衰退の過程で水ストレスが起きていない可能性が示されており、本病の枯死メカニズムは未だ不明である。また、一般的に樹病の進行は、外観から評価されるが、本病は水ストレスが枯死直前まで起きないため、葉の外観変化からは病気を見過ごす可能性が高い。そこで本研究では、菌を接種したホルトノキの苗木で、経時的に葉や根の生理状態を測定した。また根系の菌量を定量PCR法により定量し、菌の侵入状態と病徴の発生との関連を評価した。その結果、接種後約70日目まで根系の菌量は指数的に増加しその後低下したが、経時的に気孔コンダクタンスが低下した。葉の水ポテンシャルや根の通水コンダクタンスは処理期間を通じて変化しなかった。約100日目に頂端の葉の枯損が確認された。病徴が発生する菌量の閾値が存在し、通水機能に関連せず葉の気孔が閉鎖することが示された。
著者氏名 ○矢崎健一1 ・ 佐橋憲生2 ・ 山口宗義3 ・ 張春花4 ・ 鳥居正人2 ・ 宮下俊一郎2 ・ 飛田博順5 ・ 才木真太朗5 ・ 秋庭満輝2 ・ 太田祐子6
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所北海道支所 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林資源化学研究領域 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所木材加工・特性研究領域 ・ 5国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所植物生態研究領域 ・ 6日本大学大学院生物資源科学研究科
キーワード 南根腐病, 気孔コンダクタンス, 通水機能
Key word brown root rot, stomatal conductance, hydraulic function