第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-216
発表題目 3地域に植栽された落葉広葉樹の主幹における木部形成と老化
Xylem formation and senescence in the main stem of deciduous broadleaved trees planted in three regions
要旨本文 心材は多くの樹種で着色心材として知られているが、一般的に形成された木部が十数年経過した後に心材化するため、その形成機構に関する研究は未だ十分になされているとは言い難い。そこで本研究では、落葉広葉樹を対象に主幹における木部の心材化の種特性を明らかにする目的で、緯度の異なる国内3地域(足寄・秩父・浜松)に広葉樹3種(タラノキ・ヌルデ・ヤマザクラ)の苗木を同時期に植栽し、定期的に生育調査と木部の組織観察を行った。その結果、3種の樹高と地際直径が最も大きかった個体は浜松のもので、足寄の個体が最も小さい傾向を示した。地際付近の主幹における木部の着色を調べた所、タラノキでは秋季に、ヌルデは初夏に秩父と浜松の苗木で認められ、ヤマザクラでは秋季に足寄の苗木で認められた。着色域では3種とも水輸送機能が喪失していたが、ヤマザクラでは着色域でも多くの柔細胞が生きていた。従って、落葉広葉樹には若木でも心材化を生じる樹種が存在し、心材化を起こす時期は生育環境により種毎で異なることが明らかになった。木部の着色域では水輸送機能は既に喪失していたが、ヤマザクラのように心材化までには至っていない樹種も存在した。
著者氏名 ○梅林利弘1 ・ 野末尚希2 ・ 内海泰弘3 ・ 大村和也4 ・ 山田利博4
著者所属 1秋田県立大学生物資源科学部 ・ 2静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター ・ 3九州大学農学部附属北海道演習林 ・ 4東京大学大学院農学生命科学研究科附属演習林秩父演習林
キーワード 広葉樹, 木部, エンボリズム, 柔細胞
Key word broadleaved tree, xylem, embolism, parenchyma cell