第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-217
発表題目 クロマツの幹および葉の貯留水利用の可能性
Potential use of stem water storage for daily transpiration in tall Japanese black pine
要旨本文 背の高い樹木では根から葉への通水距離が長いため、葉の蒸散要求が急激に高まると幹における通水機能が制限されることがある。一方、通水経路内に貯留水があれば、通水機能の損失を補償できる可能性がある。そこで本研究では、高木種クロマツを対象に、日常的な蒸散活動に対する幹の貯留水寄与の可能性を検証した。熱海市にある市村清新技術財団植物研究園内に生育する樹高の異なる4個体(樹高2.6、11.6、20.3(16.7)、22.1m)の幹の上部と下部に、デンドロメーターおよび樹液流センサーを設置し、幹の貯留水利用を評価した。各個体の梢端・最下枝・その中間地点から針葉を採集し、解剖学的観察による葉の貯水機能にかかわる移入組織の横断面積割合から、葉の貯留水利用を評価した。日周期的な幹の伸縮は、樹木の蒸散活動が低下する冬期においても観測され、蒸散活動が活発となる春、夏にかけて伸縮量が増大していたことから、蒸散要求に応じた幹の貯留水利用が示唆された。また、樹高の高い木ほど伸縮量が大きく、樹高の高い木ほど貯留水の寄与が大きいことが示唆された。葉の移入組織の横断面積割合は個体内の高さによらず一定で、樹高の高さによらず同様であった。
著者氏名 ○東若菜1 ・ 矢野鼓子2 ・ 小切壮仁1 ・ Epron, Daniel3
著者所属 1神戸大学大学院農学研究科 ・ 2神戸大学農学部 ・ 3京都大学大学院農学研究科
キーワード 樹液流, デンドロメーター, 内樹皮, 移入組織, 日変化
Key word sap flow, dendrometer, inner bark, transfusion tissue, diurnal variation