第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-224
発表題目 ブナ林冠木における光合成能力の高温レジリエンスと窒素・リン利用
Resilience of photosynthetic capacity to high temperature and nitrogen and phosphorus relations in beech forests
要旨本文 気候変動が森林樹木の光合成生産に与える影響を理解する上で、光合成能力の高温に対するレジリエンスを理解することは重要である。本研究は、ブナ天然林の陽樹冠の葉を対象に、窒素濃度(N)およびリン濃度(P)と葉緑体リボソーム量の関係、ならびに光合成能力の高温(35℃・2時間)に対するレジリエンス(抵抗力および回復力)との関係を調べた。NおよびPと葉緑体リボソーム量はそれぞれと有意な正の相関を示した。NとPの減少に対してN/P比は変化しなかったため、葉に対するNとPの配分が協調的にリボソーム量を規定していたと考えられた。葉緑体リボソーム量と高温による光合成能力の低下率との関係は有意な負の相関を示した。一方で、養生後における光合成能力の回復との関係は有意性を示さなかった。レジリエンスを光合成能力の低下から回復までの積算量とした場合、レジリエンスはN,P,葉緑体リボソーム量とそれぞれ有意な関係を示した。以上に基づき、光合成能力の高温レジリエンスにおける葉緑体リボソームの役割とその調節機構としての窒素とリンの資源配分について考察する。
著者氏名 ○斎藤秀之1 ・ 岡崎裕平2 ・ 前田唯眞2 ・ 川江萌々香3
著者所属 1北海道大学大学院農学研究院 ・ 2北海道大学大学院農学院 ・ 3北海道大学農学部
キーワード 適度な高温, 最大カルボキシル化速度, 無機養分, リボソーム, ルビスコ
Key word moderate high temperature, maximum carboxilation rate, mineral nutritions relations, ribosome, Rubisco