第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-230
発表題目 閉鎖林冠下に生育するトドマツ稚樹のLMAと光阻害感受性との関係
Relationship between difference in LMA and photoinhibition sensitivity of Abies sapling growing in the understory
要旨本文 森林の更新技術の1つとして、前生稚樹を活用する方法がある。しかし、暗い環境に順応した植物は急激な光環境の改善によって光阻害を受けることがある。光阻害の受けやすさ(光阻害感受性)は葉の形態的特性と密接に関わり、葉重/葉面積(LMA)と樹種間および同一種内での光阻害感受性に関係があることが報告されてきた。本研究では、北海道の主要造林樹種で、急激な光環境の改善に脆弱なトドマツを対象とし、閉鎖林冠下に生育するトドマツ稚樹のLMAが光阻害感受性(1-qP:qPは光化学消光)および1-qPを低下させる重要な光合成パラメータである電子伝達速度(ETR)、非光化学消光(NPQ)にどのように影響するのかを明らかにすることを目的とし、各光合成パラメータとLMAとの関係を解析した。その結果、トドマツ稚樹の1-qPはLMAの増加に伴い低くなったものの、これまでに報告された林床に生育する他の樹種と比較すると、LMAに関わらず高い値を示した。また、他の樹種と比較してNPQは同程度の値を示すのに対してETRは低い値を示したことから、閉鎖林冠下に生育するトドマツ稚樹の1-qPの高さは、電子の消費による過剰エネルギーの消費が活発でないことに起因すると考えられた。
著者氏名 ○角田悠生 ・ 大野泰之
著者所属 北海道立総合研究機構森林研究本部林業試験場
キーワード トドマツ稚樹, 光阻害感受性, LMA
Key word Abies sachalinensis sapling, photoinhibition sensitivity, LMA