第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

生理部門[Tree Physiology]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-233
発表題目 トドマツ成木の見かけの加齢と樹勢の衰えに伴う光化学系II活性の高温応答
Response of PSII activity to high temperature of Todo-fir trees in relation to apparent aging and vigor declining
要旨本文 加齢を重ね樹勢の衰えた樹木では光合成に関わる生理機能の衰えが懸念される。本研究は天然生トドマツの壮齢木から過熟木の陽樹冠を対象に、針葉のパルス変調クロロフィル蛍光測定により光化学系IIの最大量子収率(Fv/Fm)とその高温応答を調べ、加齢と樹勢の衰えに伴う光合成機能と環境ストレス耐性の機能低下を検討した。供試木は樹高が17 - 28m、胸高直径が27 - 92cmの11個体であった。樹高26m以上の供試木は梢端成長が著しく鈍化した樹冠形状を呈し、シュート成長量は顕著に低下していたため、典型的な老齢過熟木であった。Fv/Fmと樹高の関係は負の相関を示し、Fv/Fmが最大値から15%低下した時の温度(T15:温度耐性の指標)と樹高の関係は負の相関を示した。樹高の増加に伴うFv/Fmの減少は光合成色素および窒素制限と関連せず、リン制限によると考えられた。以上より加齢と樹勢の衰えによる光化学系IIの最大量子収率とその高温耐性に関わる機能低下が明らかになった。だたし、その機能低下量は5%未満であり、樹冠に枯損が目立つ衰退木(最大約9%低下)と比べて小さく、懸念された生理機能の衰えは顕著ではなかった。
著者氏名 ○田嶋健人1 ・ 松田侑樹1 ・ 前田唯眞2 ・ 斎藤秀之3 ・ 宮本敏澄3 ・ 渋谷正人3
著者所属 1北海道大学農学部 ・ 2北海道大学大学院農学院 ・ 3北海道大学大学院農学研究院
キーワード トドマツ, 光化学系Ⅱ活性, 高温応答, 加齢, 樹勢
Key word Todo-fir, Photosystem II activity, Response to high temperature, Aging, Tree vigor