第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-266
発表題目 早池峰山のアカエゾマツ自生南限地における動態予測
Prediction of stand dynamics of the relic Picea glehnii forest on Mt. Hayachine.
要旨本文 早池峰山アイオン沢には本州で唯一アカエゾマツが自生し、氷期の遺存林として知られる。その動態を予測することは保全上重要である。アイオン沢にはアカエゾマツの成熟林と土石流発生後の更新地が存在し、本研究ではそれぞれに調査区を設置し(順に成熟林分、更新林分)、遷移行列モデルを用いて主要構成種(アカエゾマツ、キタゴヨウ、コメツガ、ヒバ)ごとに動態を予測した。成熟林分は21年、更新林分は23年を1期間としてDBH3cm以上の個体を対象に実測値を用いて算出した。結果、成熟林分は42年後に林分全体の個体数が半減すると予測され、胸高直径階別頻度分布構造は凸型から平坦な分布型に変化した。最も個体数の多いコメツガは現在の個体数の3割にまで減少した。アカエゾマツは小径階の個体が消失するものの20cm階以上は枯死せず大径階へ推移し、現在の7割が生存すると予測された。更新林分は46年後に林分全体の個体数に対して1.7倍増加し、L字型分布のままだった。最も個体数の多いアカエゾマツは3倍に増加、コメツガは7倍、キタゴヨウは1.6倍となった。これらのことから、アカエゾマツが50年後に消失する可能性は低いと考えられる。
著者氏名 ○浅瀬石育吹1 ・ 杉田久志2 ・ 高橋利彦3 ・ 酒井敦4 ・ 真坂一彦5
著者所属 1岩手大学大学院総合科学研究科 ・ 2富山県農林水産総合技術センター森林研究所 ・ 3木工舎「ゆい」 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所 ・ 5岩手大学農学部
キーワード 森林動態予測, アカエゾマツ, 早池峰山
Key word Prediction of stand dynamics, Picea glehnii, Mt. Hayachine