第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 ポスター発表
講演番号 P-271
発表題目 ダケカンバ産地試験における3年生苗の樹冠構造
Canopy structure of 3 years old Betula ermanii sapling in a common garden experiment
要旨本文 信州大学農学部構内演習林に設置されたダケカンバ産地試験地では、昨年の毎木調査の結果から高木限界集団である西駒、釈迦ヶ岳、鳥海山のD2Hが小さい傾向にある事が読み取れた。しかしながら、多くの個体で多数の萌芽幹が観察されたことから、主幹のD2Hを成長の指標として用いることの妥当性を検証する必要があった。そこで本年の研究では、全ての幹を対象にD2Hの測定と幹の生存調査を行った。移植3年目の本年の萌芽率(全個体数に占める萌芽個体の割合)は厚岸が57%で、その他の産地が88~100%の範囲にあり、多くの産地のダケカンバは萌芽していた。主幹のD2Hが小さい株には、萌芽幹が数多く見られた。このことからD2Hの小さい株においては、幹数を増やすことによって個体全体のD2Hを増大させているといえる。さらに、産地毎に主幹のD2Hと個体の全萌芽幹の合計D2Hとの順位相関係数を求めたところ、強い正の相関が認められた(r=0.945, p<0.001)。このことから、萌芽幹を多数発生させるダケカンバにおいても主幹のD2Hが個体成長の有効な指標になることを確認することができた。
著者氏名 ○室谷楓香1 ・ 小林元2 ・ 後藤晋3 ・ 戸丸信弘4 ・ 津村義彦5
著者所属 1信州大学農学部 ・ 2信州大学農学部附属アルプス圏フィールド科学教育研究センター ・ 3東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 4名古屋大学生命農学研究科 ・ 5筑波大学生命環境系
キーワード 先枯れ, 主幹, 地域間差, D²H, 萌芽
Key word stem dieback, main stem, regional difference, D²H, sprout