第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-277
発表題目 北方針広混交林のトドマツとミズナラ下層木の光合成に及ぼす高温の影響
Effect of high temperature on photosynthesis of Todo-fir and white oak trees understoried in a boreal mixed forest
要旨本文 北海道の針広混交林では、近年、トドマツに代表される針葉樹の成長鈍化と更新木の枯死率の増加が顕在化しており、その一方で同所的に生育するミズナラなどの主要落葉広葉樹は成長が向上するなど、これまでと異なる林分動態の傾向を示している。この原因として夏期の気温上昇などの長期的な気象条件の変動が示唆されているが、十分な検証には至っていない。本研究は、北海道の針広混交林の林冠下で更新するトドマツとミズナラを対象に、光合成活性(光化学系Ⅱの最大量子収率,Fv/Fm)に対する高温(35℃・2時間)と光(光合成の光飽和点付近)の複合影響を調べて、2樹種の成長パターンとの関係を検討した。トドマツは高温+光の複合影響で光合成活性が7.6%の低下したことから、晴天日の高温条件がトドマツの成長阻害要因になることが示された。他方、ミズナラは高温が光の阻害効果を緩和して、光合成活性の低下が3.7%に止まったことから、晴天日の高温条件は成長阻害の要因として認められなかった。よって、トドマツとミズナラの光合成活性に及ぼす晴天日の高温は樹種間で異なることが明らかになり、林分動態における樹種の優占度に影響を及ぼす可能性があることを示唆した。
著者氏名 ○松田侑樹1 ・ 前田唯眞2 ・ 田嶋健人1 ・ 岡崎裕平2 ・ 斎藤秀之3 ・ 宮本敏澄3 ・ 渋谷正人3
著者所属 1北海道大学農学部 ・ 2北海道大学大学院農学院 ・ 3北海道大学大学院農学研究院
キーワード 気候変動, 森林動態, 針広混交林, 短時間の高温, 光化学系Ⅱ量子収率
Key word climate change, forest dynamics, mixed needleleaf and broadleaf forest, short-time high-temperature, quantum yield of photosystem II