第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

立地部門[Forest Environment]

日付 ポスター発表
講演番号 P-284
発表題目 化合物組成の異なる根滲出物が森林土壌の微生物および窒素循環に与える影響
Effect of artificial root exudates on the forest soil microbial community and nitrogen dynamics
要旨本文 植物が根から周辺の土壌(根圏)へ滲出する根滲出物は微生物の成長速度への影響などを介して根圏における窒素循環速度に影響することが知られている。一方で、根滲出物の化合物組成の違いや多様性が土壌微生物を介して窒素循環に与える影響は不明な点が多い。本研究では根滲出物の違いによる土壌微生物および窒素循環速度の変化を明らかにするために、化合物組成の異なる根滲出物を模した3種類の溶液(Artificial root exudates; ARE)を添加する室内土壌培養実験を行った。培養には黒ボク土を用い、AREは添加する総炭素量を一定にしつつ、培養容器ごとに1~3種類添加した。コントロールとして純水の添加も行った。土壌の真菌、細菌、古細菌の遺伝子量は添加したAREの種類で異なり、また、添加した種類が多いほど少なくなる傾向がみられたが、その差は統計的に有意ではなかった。さらに、純窒素無機化速度、純硝化速度に対してもAREの種類および多様性の違いによる有意な差はみられなかった。このことから、黒ボク土の土壌微生物群集および窒素循環に対し、根滲出物の化合物組成および多様性は短期的には影響が小さいことが示唆された。
著者氏名 ○中山理智1,2 ・ 舘野隆之輔3
著者所属 1京都大学大学院農学研究科 ・ 2日本原子力研究開発機構原子力基礎工学研究センター ・ 3京都大学フィールド科学教育研究センター
キーワード 根滲出物, 土壌微生物, 窒素動態
Key word Root exudates, Soil microbes, Nitrogen dynamics