第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 ポスター発表
講演番号 P-387
発表題目 マダニのリケッチア保有率に対するニホンジカの直接・間接効果
The direct and indirect effects of deer on the prevalence of Rickettsia in ticks
要旨本文 森林生態系において,シカは宿主としての直接効果と,下層植生量の減少を介して間接的にマダニや宿主動物の個体数を変化させる間接効果を合わせもつ。一方,マダニは共生細菌「リケッチア」を,リケッチアに感染した野生鳥獣への吸血等によって獲得する。リケッチア増幅能力は野生動物種ごとに異なるため,シカの直接・間接効果はマダニ個体群のリケッチア保有率へも波及している可能性がある。そこで,シカの直接・間接効果を定量するため,両方の効果がある柵(DE),間接効果のみがある柵(IN),シカの効果がない囲い柵(Control)においてマダニを採集し,リケッチア保有率を比較した。DE よりINとControlでマダニのリケッチア保有率が高かったことから,シカがリケッチア保有率を低下させる直接効果が検出され,またシカはリケッチア増幅能力が低いと推察された。一方,ControlよりINの方がマダニのリケッチア保有率が高かったことから,シカによる間接効果も示唆された。シカは下層植生の減少を介して,リケッチア増幅能力の高い他の野生動物種の個体数を変化させ,マダニの吸血対象を変化させていたかもしれない。
著者氏名 ○松山紘之1 ・ 土井寛大2 ・ 揚妻直樹3 ・ 鈴木牧1
著者所属 1東京大学大学院新領域創成科学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 ・ 3北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
キーワード 野外操作実験, 感染症生態学, 生態系エンジニア, チマダニ属, 寄生
Key word Field experiment, Disease ecology, Ecosystem engineer, Haemaphysalis, Parasite