第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Insects and Animals]

日付 ポスター発表
講演番号 P-410
発表題目 関東地方におけるカシノナガキクイムシの遺伝的由来
Genetic origin of Platypus quercivorus in Kanto region
要旨本文 近年関東地方ではナラ枯れ被害の初確認と拡大が続いている。関東地方のカシノナガキクイムシ(以下カシナガ)個体群の由来について、隣接県からの自然拡大または人為的移入、遠方からの人為的移入、あるいは在来由来の可能性が考えられる。本研究は山梨県を含む関東地方1都7県と福島県のカシナガの遺伝解析を行い、先行研究(岡崎ら2018)の結果と比較し、由来の検討を行った。29地域のカシナガ試料を採集し、核28SリボソームDNAの塩基配列と6つの核マイクロサテライトマーカーの遺伝子型を決定し、遺伝構造と遺伝的多様性を調べた。その結果、福島県を除く27の関東地方個体群は、先行研究の糸魚川静岡構造線より西側の静岡および岐阜個体群と同じ系統であった。また、この系統の遺伝構造内に地域的なサブ構造がみられなかったことから、在来由来の可能性は低いと考えられた。さらに、この系統内に有意な距離による隔離はみられず、遺伝的多様性は先行研究と比較して低くはなかったことから、個体群間の遺伝子流動は高いと考えられた。よって、関東地方個体群は、糸魚川静岡構造線より西側から着実に自然拡大した個体群に由来する可能性が示唆された。
著者氏名 ○飯塚早紀1 ・ 北島博2 ・ 逢沢峰昭3
著者所属 1宇都宮大学大学院地域創生科学研究科 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林昆虫研究領域 ・ 3宇都宮大学農学部
キーワード 遺伝構造, 遺伝的多様性, 核マイクロサテライト, 28SリボソームDNA, 関東地方
Key word genetic structure, genetic diversity, nuclear microsatellite, 28S ribosomal DNA, Kanto region