第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 ポスター発表
講演番号 P-416
発表題目 3年間にわたる外生菌根菌の成長菌糸群集モニタリング
Three-year monitoring of growing hyphal communities of ectomycorrhizal fungi
要旨本文  外生菌根菌の菌糸は, 宿主に代わる土壌中の無機養分吸収および土壌中への炭素蓄積など, 森林生態系における重要な機能を果たす. しかし, 野外で変動する環境は, これらの菌糸成長に影響を及ぼすものと考えられる. そこで本研究では, 土壌中における外生菌根菌の菌糸成長動態を3年間にわたってモニタリングした. 湘南海岸クロマツ林(2調査区)において, 未感染クロマツ苗を30本植栽して1ヶ月後に回収する工程を反復した. 枯死せずに回収された1017の植栽苗について根系からDNAを抽出し, 菌類のrDNA-ITS1領域の塩基配列をIllumina MiSeq により取得した. 配列相同性97%に基づくクラスタリングにより, 外生菌根菌に属す280 OTUsが検出された. 多変量分散分析の結果, 調査区間の違い (R2 = 0.12, P < 0.01) と気温変動 (R2 = 0.09, P < 0.01) に応じた群集変化が認められた. さらに, 調査開始後16ヵ月間の群集データを活用することで, 群集データに基づいて誤差±1 °C以下の精度で気温を予測することができた. 今回のモニタリングを通じて, 微生物群集と環境との間に, 高精度な予測が成立するほど密な関係性が存在することが明らかとなった.
著者氏名 ○小泉敬彦1,3 ・ 清水智史2 ・ 井上みずき2 ・ 市橋泰範3 ・ 松尾歩4 ・ 陶山佳久4
著者所属 1東京農業大学生命科学部 ・ 2日本大学文理学部 ・ 3理化学研究所バイオリソース研究センター ・ 4東北大学大学院農学研究科附属複合生態フィールド研究センター
キーワード 外生菌根菌, バイオアッセイ, 群集解析
Key word ectomycorrhizal fungi, bioassay, community analysis