第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 ポスター発表
講演番号 P-426
発表題目 クマ剥ぎによるスギ被害木の腐朽状況と検出された腐朽菌種
Decay volumes and occurrence of wood-decay fungi on Cryptomeria Japonica after bear bark stripping
要旨本文 ツキノワグマによる剥皮害(以下、クマ剥ぎ)が樹幹全周で起こった場合には樹木は枯死し、枯死しない場合には剥皮部から材腐朽が生じる。そのため、本被害は造林樹種に対して経済的損失を与えるが、枯死しなかった場合の腐朽実態に関する報告はわずかしかない。本研究では、クマ剥ぎ後に生じる腐朽と剥皮状況との関連と、その腐朽に関わる菌類を明らかにすることを目的とした。群馬県のクマ剥ぎ被害林分において、スギ20本の剥皮された27箇所を対象とし、連続的に玉切りにした横断面から各箇所の腐朽体積と剥皮面積を算出した。同時に、剥皮後の経過年数(巻き込み部の年輪数)と各被害木の樹齢、胸高直径を記録した。また、地際付近と被害木上部の腐朽部から腐朽菌の分離を行った。各箇所で取得したデータのうち腐朽体積を目的変数、その他を説明変数として重回帰分析を行ったところ、剥皮面積のみが有意な変数であり、正の影響を及ぼしていた。また、分離された腐朽菌種は剥皮箇所によって異なり、特定の菌種によって腐朽体積が大きくなるという傾向はなかった。以上のことから、剥皮面積が大きいほど材内で生じる腐朽体積が大きくなることが明らかとなった。
著者氏名 ○鳥居正人1 ・ 升屋勇人1 ・ 皆川拓2 ・ 小野里光3 ・ 服部力4
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域 ・ 2岩手県農林水産部森林整備課 ・ 3群馬県鳥獣被害対策支援センター ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所
キーワード 剥皮, 木材腐朽菌, スギ
Key word bark stripping, wood-decay fungi, Cryptomeria Japonica