第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-441
発表題目 殺菌処理が林床植物イチヤクソウの菌根菌群集と炭素獲得に及ぼす影響
Influences of fingicide treatments on carbon acquisition and mycorrhizal communities of Pyrola japonica.
要旨本文 林床に生育するツツジ科イチヤクソウは、「葉の光合成」と「根に定着する菌根菌」の両方に由来する炭素を利用する混合栄養植物である。本種の菌根にはベニタケ科菌類が寡占する傾向にあるなど菌根菌群集の組成については解明されている一方で、それらが炭素獲得に果たす機構は不明である。そこで本研究は、イチヤクソウの炭素獲得に対する菌根菌群集の寄与の解明を目的とし、イチヤクソウ周辺の土壌に殺菌剤(ベノミル溶液)を投与することで根近傍の真菌密度を低減させ、イチヤクソウの菌根菌群集と炭素獲得について調べた。回収した菌根は次世代シークエンスで網羅的に種推定した。宿主の葉と果実は炭素安定同位体分析を行った。その結果、土壌への殺菌は宿主の菌根形成に差異を及ぼさなかった。殺菌処理は菌根菌群集のα多様性に影響せずベニタケ科が優占したが、β多様性は低下した。葉と果実の炭素安定同位体比は殺菌処理によって周囲の個体よりも有意に減少した。以上から、殺菌処理が根外に伸びる菌根菌の菌糸に影響したことで菌根への炭素供給が断たれ、イチヤクソウは不足する炭素を光合成で補償した可能性が示唆された。
著者氏名 ○榮航太朗1 ・ 河合将生1 ・ 北上雄大1 ・ 谷川東子2 ・ 松田陽介1
著者所属 1三重大学大学院生物資源学研究科 ・ 2名古屋大学大学院生命農学研究科
キーワード 部分的菌従属栄養植物, アーブトイド菌根, ベノミル, 安定同位体分析, 次世代シークエンシング
Key word partial mycoheterotrophic-plants, arbutoid mycorrhiza, benomyl, stable isotope analysis, next generation sequencing