第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T1. 生物多様性保全と森林管理[Biodiversity conservation and forest management]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-462
発表題目 九州山地における防鹿柵内外でのブナ樹冠下環境と土壌微生物相の違い
Differences in understory environment and soil microbiome between inside and outside deer fences in Kyushu
要旨本文 九州山地では、シカによる食害で下層植生が消失し、その後の激しい土壌の露出と侵食が引き起こることにより、土壌生態系が劣化する可能性がある。土壌生態系衰退の防止や生物多様性の維持には防鹿柵の設置が効果的であるが、土壌中の微生物(真菌類と細菌類)の多様性や機能性がどの程度維持されているかについてはわかっていない。そこで本研究は、ササが繁茂する柵内とササが消失した柵外におけるブナ樹冠下の環境および土壌中の微生物相の違いを明らかにすることを目的とした。調査は熊本県あさぎり町の白髪岳山頂付近において、2005年より設置された防鹿柵内外で行った。柵内外のブナの個体周辺の環境を測定したところ、柵内のササ密度およびリター量は、柵外に比べて高かった。樹冠下の土壌DNAの解析の結果、真菌類のα多様性が柵内の方が有意に高く、β多様性は真菌類と細菌類ともに柵内外で有意な差があったが、機能性は真菌類と細菌類ともに柵内外で差がなかった。柵を設置することで、下層植生、土壌微生物の多様性を保全する効果がみられた一方で、柵外の土壌微生物の機能性は異なる種構成ながら維持されていることがわかった。
著者氏名 ○櫻井優樹1 ・ 片山歩美2 ・ 阿部隼人3 ・ 津山濯1 ・ 徳本雄史1
著者所属 1宮崎大学大学院農学研究科 ・ 2九州大学大学院農学研究院 ・ 3九州大学大学院生物資源環境科学府
キーワード 冷温帯落葉広葉樹, 南九州, 真菌相, 細菌相, 外生菌根菌
Key word cool temperate deciduous broad leaved forest, South Kyushu, fungal community, bacterial community, ectomycorrhizal fungi