第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T3. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 ポスター発表
会場名 (学生ポスター賞の審査対象)
講演番号 P-490
発表題目 根滲出速度は土壌深度に沿って変化するのか?:針葉樹3種を用いた検証
Variation of root exudation rate along soil depth in three conifer species
要旨本文 根は易分解性有機化合物を滲出物として放出することにより,資源獲得や防衛機能といった生存するための重要な機能を果たしている.本研究は,可給態養分の異なる土壌深度に着目し,根滲出速度の制御要因を明らかにすることを目的とした.調査地は信州大学の手良沢山研究林であり,アカマツ,ヒノキ,スギの成木を対象とした.土壌0-20 cm(表層),20-60 cm(中層),60-100 cm(深層)から末端部根系を露出させ,ガラスフィルタートラップ法を用いて根滲出物を測定した.結果,土壌深度に沿った根滲出速度において,アカマツでは表層よりも中層で有意に高くなった.一方ヒノキの根滲出速度では有意差は認められなかったが,表層から深層にかけて減少傾向があり,スギでは表層で深層よりも有意に高くなった.本サイトの土壌電気伝導度は表層が中層・深層よりも有意に高くなっていることより,スギやヒノキは根滲出速度が養分量の変化に対応していると示唆されるが,アカマツでは養分量によって要因を説明することは難しく,滲出物の種特異性を明らかとした.本発表では,土壌垂直構造に応じた根滲出速度を更に明らかにするために,細根特性を踏まえて考察していく.
著者氏名 ○坂下凜 ・ 朝倉知佳 ・ 細井彩 ・ 牧田直樹
著者所属 信州大学理学部
キーワード 総炭素滲出量, 細根, 根形態, 土壌垂直分布
Key word total carbon exudation, fine root, root morphology, soil vertical distribution