第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T3. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 ポスター発表
講演番号 P-492
発表題目 福島県川俣町の森林における樹木根中放射性セシウムの経年変化
Temporal variation in the radiocesium in tree roots of forests at Kawamata town, Fukushima Prefecture
要旨本文  原子力事故により森林に沈着したCs-137の大部分は土壌に強く吸着し、その一部が樹木に吸収され、森林生態系内を長期に渡り循環することが明らかにされているものの、樹木根中のCs-137動態に関する研究は限られている。そこで、本研究では、2013、2015、2017、2020年のスギの当年生細根(0.5 mm以下)を深度ごとに採取し、Cs-137の経年変化を調べることを目的とした。調査地は旧計画的避難区域に位置する川俣町山木屋地区のスギ若齢林(初期沈着量 440 kBq m-2)である。2011年からの土壌中Cs-137深度分布モニタリングで採取したサンプルから植物根を目視で選り分け、超音波洗浄により根の表面の土壌を洗浄したのち粉砕しGe半導体検出器によりCs-137濃度を測定した。0-10 cmまでは2 cm間隔で、10-20 cmまでは5 cm間隔で細根を集めたところ、いずれの年においても細根中のCs-137濃度は深さに伴い減少した。0-20 cmまでの加重平均Cs-137濃度は1.3±0.2 Bq g-1と明確な時間変化は認められなかった。一方、土壌のCs-137濃度および存在量は時間とともに増加しており、これを反映して細根/土壌の濃度および存在量比は時間とともに減少することが示された。
著者氏名 ○高橋純子1 ・ 佐々木拓哉1 ・ 井口啓2 ・ 恩田裕一1
著者所属 1筑波大学アイソトープ環境動態研究センター ・ 2筑波大学大学院生命環境科学研究科
キーワード 福島第一原子力発電所事故, Cs-137, 面移行係数, 森林土壌, 深度分布
Key word Fukushima Daiichi NPP accident, Cs-137, Tag, Forest soil, Vertical distribution