第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T3. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 ポスター発表
講演番号 P-493
発表題目 土壌圧縮がカラマツ苗木の成長と根の動態に及ぼす影響
Effect of soil compaction on growth and root dynamics of Larix kaempferi seedlings
要旨本文 高性能林業機械等の重機による林内の走行や,登山等のレクリエーションに伴う踏圧,乾燥や豪雨等による表面土壌の流出は,森林内の土壌を硬化させる恐れがある。土壌の硬化は,樹木の成長に欠かせない細根の伸長や枯死といった動態に悪影響を与える可能性がある。本研究ではニホンカラマツの一年生苗を土壌圧縮条件下で育成し,地上部と地下部の成長量および細根の形質や動態を非圧縮条件下の苗木と比較した。実験は北海道大学苫小牧研究林で行った。2018年6月,底面に穴をあけた30 cmガラス水槽に土壌密度0.80 g/cm³(対照区)と1.20 g /cm³(圧縮区)になるように森林土壌を充填し,苗木を植栽した。2019年4月から8カ月間,水槽の外側2面をフラットベットスキャナーで毎月スキャンし,土壌断面画像を取得した。画像上の根を抽出し,その成長,枯死分解,ターンオーバー速度を算出した。実験終了後の幹直径,地上部・地下部重量は,対照区に比べて圧縮区で有意に低く,細根の現存量,成長,枯死分解,ターンオーバー速度は対照区に比べて圧縮区で低下傾向にあった。土壌圧縮により細根生産が抑えられ,樹木の成長抑制につながったことが示唆された。
著者氏名 ○遠藤いず貴1,2 ・ 中路達郎3 ・ 刀祢翔太2 ・ 井手淳一郎2 ・ 大橋瑞江1
著者所属 1兵庫県立大学環境人間学部 ・ 2公立千歳科学技術大学理工学部 ・ 3北海道大学北方生物圏フィールド科学センター
キーワード 水槽実験, スキャナー法, 地上部重量, 地下部重量, 幹直径
Key word Tank experiment, Scanner method, Above-ground weight, Below-ground weight, Stem diameter