第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T2. 森林の放射能研究[Research on radioactivity in contaminated forest]

日付 2023年3月26日
開始時刻 9:30
会場名 Room 5
講演番号 T2-1
発表題目 スギ・コナラの各部位およびリターに対する放射性セシウムの浸出試験
Radiocesium leaching experiments for different parts and litter from Japanese cedar and konara oak stands
要旨本文 福島第一原発事故により、福島の森林域に大量の放射性セシウム(137Cs)が沈着した。事故から10年以上が経過した現在、137Csの大部分が鉱質土層表層に固定されているものの、森林生態系内の137Csの循環(樹木の根を介した土壌中の137Csの吸収→樹体内の転流→落葉などを介した土壌への移行)は続いており、林業や森林利用になお大きな影響を与えている。本研究では、スギとコナラを対象に、枝や葉などの樹木各部位やリターに含まれる137Csの動きやすさに注目する。これらの試料に一旦取り込まれた137Csが、雨水や土壌水などによってどの程度再流出し、森林生態系内を循環し得るのかを、純水および酢酸アンモニウム溶液(酢安)による137Cs抽出率を指標とし評価を行った。浸出試験の結果、全ての試料で、純水より酢安の方が137Csの抽出率は高かった。部位による違いについては、葉・枝の抽出率は同程度だったのに対し、特にスギの外樹皮で抽出率が低く、137Csが動きにくい状態で残存していると考えられた。樹種による違いについては、スギよりコナラの方が、全般的に抽出率が高かった。ゆえにコナラでは137Csがより活発に循環している可能性が示唆された。
著者氏名 ○眞中卓也1 ・ 荒木眞岳2 ・ 大橋伸太1 ・ 今村直広1 ・ 坂下渉1 ・ 小河澄香1 ・ 小松雅史1 ・ 阪田匡司1 ・ 篠宮佳樹1
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所 ・ 2林野庁森林整備部研究指導課
キーワード 福島第一原発事故, 放射性セシウム, スギ, コナラ, 浸出
Key word Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant accident, radiocesium, Cryptomeria japonica, Quercus serrata, leaching