第134回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

T3. 樹木根の成長と機能[Development and function of tree roots]

日付 2023年3月26日
開始時刻 11:15
会場名 Room 6
講演番号 T3-7
発表題目 苗場山ブナ林における細根への窒素分配
Nitrogen allocation to fine roots at a beech forest in Mt. Naeba
要旨本文 ブナは結実年に多くの個体が同調して種子を生産する。この過程において窒素がシグナルおよび資源として重要であることが分かりつつあるが、地下部を含めた樹体内の窒素分配については不明な点が多い。そこで本研究では、ブナの細根への窒素分配量を明らかにすることを目的とした。苗場山の約90年生ブナ林において、2015年~2017年にイングロースコア法により深さ0-20 cmの土壌中における細根成長量を推定した結果、約260~500 g/m2/yearであった。ここで得られた細根(直径 <1 mmおよび1-2 mm)の窒素濃度は約10~20 g/kgで明瞭な年変動は見られず、直径<1 mmの細根の窒素濃度は直径1-2 mmの細根の窒素濃度よりも高かった。これらの結果から推定した細根への窒素分配量は約4.2~8.3 g/m2/yearであったが、これは葉への窒素分配量の約6割~1.1倍であった。このように、細根には葉に匹敵する量の窒素が分配されており、ブナの樹体内窒素分配について理解する上で、細根が重要な要素であることを示唆している。
著者氏名 ○野口享太郎1 ・ 韓慶民2 ・ 壁谷大介2 ・ 稲垣善之3 ・ 藤井一至4
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所植物生態研究領域 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所四国支所 ・ 4国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所立地環境研究領域
キーワード イングロースコア, リターフォール, 年変動
Key word ingrowth core, litterfall, yearly variation