第135回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
S1. 大規模ダケカンバ産地試験林調査から見えてきた樹木の環境適応[Adaptation of trees to local environments revealed from a large-scale provenance trial of Betula ermanii]
日付 | 2024年3月8日 |
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開始時刻 | 14:15 |
会場名 | 342 |
講演番号 | S1-4 |
発表題目 | 南北にわたるダケカンバの表現型変異と自然選択・小集団化との関連 The phenotypic variation and its genetic association in Betula ermanii saplings from wide latitudinal range |
所属 | 筑波大学 |
要旨本文 | 樹木の葉形質や開葉日はしばしば南北にかけて変異することがあり、それぞれの集団における自然選択や他集団との遺伝子交流の結果を反映していると考えられる。一方で分布辺縁の集団は、厳しい環境への適応や小集団化の結果、自然選択や有害遺伝子の蓄積の影響を強く受ける。しかし、自然選択と有害遺伝子それぞれが形質に与える効果の違いは知られていない。本研究はダケカンバ産地試験を用いて、日本の南北にわたる11集団の成長・葉形質・開葉日の種内変異と集団の気候環境・遺伝的特性との関連を検証した。その結果、高緯度出身の個体ほど樹高が高く、葉面積・SLA(比葉面積)が大きく、開葉日が早かった。一方で、森林限界に位置する中央アルプス産地(APW)および分布南限の釈迦ヶ岳産地(SHK)は生存率や樹高が低かった。加えて、SHKは成長率も低く、遺伝解析の結果、遺伝的多様性が低く、他集団と遺伝的に離れ、個体間の近縁度が高く推定された。SHKは著しく小集団・孤立化しており、遺伝的浮動による有害遺伝子の蓄積・近交弱勢が生じ、低い生存・成長率を示したと推測された。APWは低温かつ短い生長期間に適応し、小さな個体サイズが選択されたと考えられた。 |
著者氏名 | ○相原隆貴 |
著者所属 | 筑波大学大学院生命環境科学研究科 |
キーワード | 形質, 倍数体, 種内変異 |
Key word | Trait, Polyploid, Intra-specific variation |