第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

造林部門[Silviculture]

日付 2025年3月21日
開始時刻 9:30
会場名 N23
講演番号 E-3
発表題目 シカ高密度生息域で忌避剤散布による食害防止対策を実施した事例
Examples of measures to prevent feeding damage by spraying repellents in high-density deer habitats
所属 鳥取県林業試験場
要旨本文 鳥取県ではシカによる植栽木の食害により皆伐再造林の推進に支障をきたしており、対応が求められている。今回対策の一つとして、R4環境省調査でシカの推定生息密度が60頭/km2以上の場所に植栽された、スギとカラマツの植栽後2年目の植栽木を用いて、忌避剤散布方法について①頂芽部分散布、②通常(全体)散布、③散布なしの3処理区を設けて調査を行った。調査は令和6年5月から11月にかけて実施し、樹高、地際直径と食害状況を毎月確認した。この期間中、忌避剤は5月と8月の2回散布し、8月に下刈り(全刈り)を行った。調査の結果、期間中カラマツは299本から64本、スギは102本から94本に枯損で減少した。11月時点の生存木の食害率は忌避剤の散布方法にかかわらず100%であった。この結果から、シカの高密度生息域では採餌可能な植物はシカの増加過程で減少しているため、忌避剤散布の有無や散布部位にかかわらず、植栽木は採餌可能な植物として食害を受けたと考えられる。今回の試験から、シカ高密度生息域での食害防止について、忌避剤単独では困難であると考えられる。
著者氏名 ○柴田寛
著者所属 鳥取県林業試験場
キーワード ニホンジカ, 忌避剤, 高密度生息域, 食害
Key word sika deer, repellent, high-density deer habitats, feeding damage