第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]
日付 | 2025年3月22日 |
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開始時刻 | 14:30 |
会場名 | N23 |
講演番号 | F-12 |
発表題目 | 気候変動がもたらす生態学的機会: ニューカレドニア産 Oxera 属の適応放散 Climate Change as a Factor of Ecological Opportunity: Adaptive Radiation of Oxera in New Caledonia |
所属 | 京都大学 |
要旨本文 | 気候変動は植生を変化させ、植物の個体群動態や進化史に影響しうる。Oxeraはニューカレドニアに約500万年前に到達し、湿潤林や乾燥林など多様な環境に生育する35種に適応放散したシソ科の木本植物である。本研究では、ニューカレドニアで約300万年前に始まった乾燥化がOxeraの多様化に及ぼした影響を検証するため、28種の全ゲノムリシーケンスに基づく解析を行った。乾燥化当時の祖先形質を推定するため系統解析及び祖先形質復元を行った結果、湿潤適応系統と乾燥適応系統の分岐は系統樹における最基部であり、両系統は独立に乾燥化を経験したことが示唆された。種ごとにPSMC解析を行って過去1000万年間の集団サイズの変化を推定した結果、両系統の個体群動態は乾燥化の前後で対照的であり、乾燥化によるニッチの増減と同調した傾向であった。またヘテロ接合度を両系統で比較したところ、近年活発に種多様化した乾燥適応系統は高い遺伝的多様性を保持していた。これらの結果は、乾燥化がOxeraの多様化に影響し、特に乾燥適応系統で集団サイズの拡大、遺伝的多様性の蓄積、系統的多様化を促進した生態学的機会となったことを示唆している。 |
著者氏名 | ○坂野慧悟1 ・ 池田隆介1 ・ 河合良弥1 ・ 伊藤僚祐1 ・ 野口英樹2 ・ 寺内真2 ・ GILDAS GÂTEBLÉ3 ・ 陶山佳久4 ・ 井鷺裕司1 |
著者所属 | 1京都大学 ・ 2ROIS-DS ・ 3Centre de recherche Provence-Alpes-Côte d’Azur ・ 4東北大学 |
キーワード | 適応放散, 遺伝的多様性, 生態学的機会, 個体群動態, 気候変動 |
Key word | adaptive radiation, genetic diversity, ecological opportunity, population dynamics, climate change |