第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]

日付 2025年3月22日
開始時刻 14:45
会場名 N23
講演番号 F-13
発表題目 ブナの遺伝的多様性、集団構造およびデモグラフィーの歴史
Genetic diversity, population structure, and demographic history in Fagus crenata
所属 名古屋大学
要旨本文 次世代シーケンシングによって得られるゲノムデータにより、非モデル生物の進化史や環境適応に関連する遺伝的背景を明らかにすることができるようになった。本研究では、ブナにおける種内の中立進化を理解することを目的とした。24集団合計366個体のRAD-seqによって検出されたSNPデータを用い、まず遺伝的多様性と集団構造を評価した。遺伝的多様性は分布の北や南の集団で低下する傾向があった。また、先行研究と同様に、日本海側と太平洋側の2つの系統が検出され、さらに太平洋側の系統は北東側と南西側の系統に分かれた。次に、過去の集団動態を推定するために、集団構造に基づいて分岐モデルを構築し、SNPデータを用いてコアレセントシミュレーションで最尤法によるデモグラフィック解析を行った。更新世初頭(約246万年前)に日本海側と太平洋側の系統に分岐し、その後(約90万年前)、太平洋側系統が北東側と南西側の系統に分岐したことが推定された。さらに、約10万年前以降になってから二次的接触により系統間の移住率が高くなったことが示唆された。種分布モデリングで推定されたLGMの分布は、この二次的接触の可能性を支持していた。
著者氏名 ○賴承筠1 ・ 三須直也1 ・ 玉木一郎2 ・ 中尾勝洋3 ・ 鳥丸猛4 ・ 内山憲太郎5 ・ 戸丸信弘1
著者所属 1名古屋大学大学院生命農学研究科 ・ 2岐阜大学応用生物科学部 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所 ・ 4三重大学大学院生物資源学研究科 ・ 5国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所樹木分子遺伝研究領域
キーワード 一塩基多型, RADシーケンシング, 系統分化, 種分布モデル
Key word single nucleotide polymorphism, RAD-seq, lineage divergence, species distribution modeling