第136回日本森林学会大会 発表検索
講演詳細
遺伝・育種部門[Forest Genetics and Tree Breeding]
日付 | 2025年3月22日 |
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開始時刻 | 16:15 |
会場名 | N23 |
講演番号 | F-18 |
発表題目 | 遺伝子発現から探るスギの耐凍性の種内変異 Gene expression analysis of intraspecific variation in freezing tolerance in Cryptomeria japonica |
所属 | (国研)森林総合研究所林木育種センター |
要旨本文 | 多年生植物であるスギは、冬季の低温環境に適応するために耐凍性を獲得する。本研究では、耐凍性の「季節変化」と「種内変異」に焦点を当て、その分子制御機構の解明を目的とした。はじめに、茨城県日立市において2018年10月から2019年5月に、スギ1系統の耐凍性(LT50)を定期的に評価した結果、大きな季節変化が確認された。トランスクリプトーム(RNA-seq)及びメタボローム解析により、脂質、アミノ酸合成、糖-澱粉などに関連する複数のシグナル伝達経路(要因)が耐凍性に関与すると推定された。次に、東北から九州にかけて選抜された全国のスギ系統を1箇所に植栽した育種コアコレクションを用い、耐凍性が最も高まる1月下旬から2月上旬にかけて115系統の耐凍性を評価した。その結果、耐凍性には大きな種内変異が存在し、最大と最小の系統間ではLT50値に約16℃の差が認められた。また、各育種区から耐凍性の異なる8系統を選びRNA-seq解析を行ったところ、耐凍性に関わる複数の要因の寄与は系統によって異なることが示唆された。この結果は、耐凍性タイプの異なる系統を交配することでスギの耐凍性を効率的に向上できる可能性を示している。 |
著者氏名 | ○能勢美峰 ・ 遠藤圭太 ・ 松下通也 ・ 田村明 ・ 大平峰子 ・ 平尾知士 |
著者所属 | 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所林木育種センター |
キーワード | トランスクリプトーム, 適応, 季節変化, LT50, RNA-seq |
Key word | transcriptome, adaptation, seasonal change, LT50, RNA-seq |