第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 9:15
会場名 W109
講演番号 H-2
発表題目 表層崩壊後のレガシー活用緑化における植生回復の決定要因の解明
How recovering of plants:revegetation of using legacy after shallow landslide
所属 北海道大学
要旨本文 気候変動による豪雨で崩壊の発生が頻発するなか、崩壊地に残存するBiological legacy(レガシー)を活用した緑化が注目されている。本研究では、崩壊地におけるレガシー活用緑化の短期評価と、植生回復プロセスの解明を目的とし、崩壊地で土砂移動量計測、崩壊地と周辺残存林でカメラトラップによるシカ利用頻度の計測と植生調査を行った。レガシー下部に設置した土嚢の有無で比較した時、植生データに差がないことから、土嚢の効果は低いと考えられる。また、防鹿柵設置の有無で比較した時、設置区で植生高が高かった。環境データと植生データを使用してSEM解析を行った結果、林床パッチが土砂移動を抑制する効果、土砂移動がバイオマスを減少させる効果、の2つのパスが有意であった一方、シカ食害については、植生への影響要因に選択されなかった。以上より、崩壊地での植生回復を行う上で、崩壊発生直後はシカによる食害の防止より、土砂移動の防止が優先されることがわかった。また、土砂移動を抑制するレガシーの保護も、植生回復を目指すうえで有効であることが示された。しかし、植物の成長に伴い、シカによる食害リスクの上昇が見込まれ、今後も注視する必要がある。
著者氏名 ○重野真修1 ・ 春口菜帆2 ・ 桂真也2 ・ 厚井高志3 ・ 崎山智樹2 ・ 石山信雄2 ・ 森本淳子2
著者所属 1北海道大学農学部 ・ 2北海道大学大学院農学研究院 ・ 3北海道大学広域複合災害研究センター
キーワード 表層崩壊, レガシー, 土砂移動, シカ採食
Key word shallow landslide, biological legacy, soil erosion, deer browsing