第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 11:15
会場名 W109
講演番号 H-8
発表題目 秋田県内におけるブナの堅果生産の地域間差
Differences in nut production among five beech forests in Akita
所属 秋田県立大学
要旨本文 ブナの堅果生産には顕著な豊凶がみられ、この豊凶パターンの地域差は堅果の虫害率や加害昆虫相に影響すると考えられる。本研究では秋田県の5か所で豊凶パターンを明らかにし、2024年の虫害率の月変動および加害昆虫相を調べた。シードトラップを用いて調べた22年間の堅果生産の変動係数は1.6~2.5で、豊凶パターンは林分間で異なっていた。2024年はいずれも並作以上の結実がみられ、森吉、田沢湖、八森で過去最多であり、八森では初めての豊作となった。また2024年はどの調査地でも比較的低い虫害率を示した。虫害による月ごとの落下堅果数のピークは調査地間で異なり、加害昆虫相の違いが示唆された。そこで豊作の3調査地にて樹上から堅果を採種し加害昆虫を調べた。解析した3323個の堅果のうち142個が虫害で、八森で17%と比較的高い値を示した。多くは食痕のみだが、チョウ目、ハエ目、甲虫目と考えられる幼虫もみられた。チョウ目は全ての調査地でみられ、7月に多く採取された。一方、八森ではハエ目のタマバエ類と甲虫目の1種も採取され、豊凶が不明瞭な八森では虫害率が高く、昆虫の組成も異なっていることがわかった。
著者氏名 ○木村恵1 ・ 関本翔太1 ・ 柵山玲奈1 ・ 和田覚2 ・ 新田響平2 ・ 菅原悠樹2 ・ 沼宮内信之2
著者所属 1秋田県立大学生物資源科学部 ・ 2秋田県林業研究研修センター
キーワード 豊凶, 虫害, フェノロジー
Key word masting, insect damage, phenology