第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

植物生態部門[Forest Ecology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 11:30
会場名 W109
講演番号 H-9
発表題目 カヤの平ブナ成熟林における葉群の水平・垂直分布の5年間の変化
Five-year changes in horizontal and vertical distribution of foliage in a mature beech forest at Kayanodaira.
所属 筑波大学
要旨本文 森林生態系において葉群の空間分布は、樹冠ギャップの形成と消失に伴い大きく変動する。しかし、その過程における葉群の変化を生態系スケールで空間的に記載した研究はほとんどない。本研究は、葉面積指数(LAI)を瞬時に推定できる分光式葉面積計を用いて、成熟林における葉群の水平・垂直分布、およびその時間変化を明らかにすることを目的とした。調査は、モニタリングサイト1000にも登録されている、長野県木島平に位置するカヤノ平ブナ成熟林1haで、2019年と2024年の8月に実施した。具体的には、分光式葉面積計を用いて10mごとに高さ0m、2.5m、5mの3段階でLAIを計測し、その5年間の変化量について、ササ層、中低木層、樹冠層の3層で算出した。その結果、5年間でLAIは、ギャップでは中低木層とササ層が、閉鎖林では樹冠層が増加する傾向があった。一方で、3つの層の合計LAIは、森林全体で一様だった。この結果から、5年というスケールでも、ギャップの形成により樹冠層の葉群が失われると、その分をササや中低木などの下層植生の葉群が補完することで、葉群量が維持されるメカニズムが存在することが示唆された。
著者氏名 ○植田時1 ・ 谷岡庸介2 ・ 井田秀行3 ・ 廣田充2
著者所属 1筑波大学大学院生命環境科学研究科 ・ 2筑波大学生命環境系 ・ 3信州大学大学院総合理工学研究科
キーワード 葉面積指数, 垂直分布, 樹冠動態, 樹冠ギャップ, 成熟林
Key word leaf-area index, vertical distribution, canopy dynamics, canopy gap, mature forest