第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 16:45
会場名 S21
講演番号 J-18
発表題目 日本全国の森林乾燥害リスクマッピングにおける土層厚分布の重要性
Importance of soil depth distribution for mapping drought risk to forests across Japan
所属 国立研究開発法人森林研究・整備機構 森林総合研究所
要旨本文 湿潤な日本でも幼齢林では乾燥害が発生しやすく、林業における損失を生じさせている。広域での乾燥害リスク分布は、気象条件のみから推定されることが多い。しかし、土壌水分欠乏が乾燥害の原因であるため、土壌特性の考慮により、推定精度を高められる可能性がある。本研究では、A層の水収支から算出した永久しおれ点以下の連続日数を指標とすることで、無効降水の連続期間に基づく従来の指標と比べて、全国の被害分布の再現性が高まるか検証した。約1km解像度で整備されたA層の土層厚と水分特性(Yamashita et al., 2021)をパラメータとし、FAO56モデルを用いて土壌水分を計算した。森林保険データから求めた2012年から21年の被害率は、道北・中央高地・紀伊山地・中国地方・高知西部で高かった。従来の指標では、実際には被害率が低かった東北太平洋側や関東でも、高リスクと算出された。一方、永久しおれ点の計算では、土層の薄い近畿地方と中国地方の一部で高リスク、土層の厚い東北と関東では低リスクとなり、被害分布の再現性が向上した。本結果は、乾燥害リスクの広域評価において、気象条件だけでなく土層厚分布も考慮に入れる必要性を示唆している。
著者氏名 ○岩崎健太1 ・ 勝島隆史1 ・ 飛田博順2 ・ 鈴木覚1
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所森林災害・被害研究拠点 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所植物生態研究領域
キーワード 乾燥害, リスクマップ, 土壌水分, 土層厚, 水収支
Key word drought damage, risk map, soil water content, soil depth, water balance