第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 9:30
会場名 S21
講演番号 J-3
発表題目 室内実験による植生密度の違いを考慮した斜面崩壊と土砂流動性評価
Landslides and sediment mobility flow with different vegetation densities using a laboratory experiment
所属 名古屋大学
要旨本文 本研究は、植生根系とその植栽密度が崩壊発生後の土砂の流動性に及ぼす影響の評価を目的とした。1/70縮尺の斜面水路(深さ:10cm川砂)に無植生と豆苗根系(植栽間隔1.5~14cm)ありの条件下で降雨強度90mm/hを与えて崩壊挙動と流動性を観測した。無植生では平均8.2分後に崩壊が発生し、最大変位速度8~17mm/分、崩壊面積3664~6050cm²、飽和帯面積35~39cm²、土砂移動距離23~40cm(L/H:1.4~1.6)を示した。一方、植生ありでは土壌変位開始は60~140秒遅延し、崩壊発生時間は平均9~15分に延びた。高密度ほど最大変位速度(32~90mm/分)は増加し、飽和帯面積は36~485cm²に拡大し、崩壊土砂移動距離は最大111~125cm(L/H:1.4~2.1)となった。崩壊面積は中間密度(3cm間隔)で小さくなる一方、より高い密度では崩壊面積が拡大する傾向があった。一定の植生密度までは根系補強により崩壊面積を小さくする効果はあるものの、過密な状態ほど崩壊は遅延し、崩壊発生時の体積含水比や飽和帯面積も高くなり、土砂の流動性が増大することが示唆された。森林施業では根系強度に加え、降雨時の水分動態や崩壊後の流動特性を踏まえた最適密度管理の重要性が考えられた。
著者氏名 ○五味高志1 ・ Rozaqqa, NOVIANDI2 ・ Gumbert, Pratama Maylda1 ・ 白井朋香3 ・ 岩佐直人4 ・ 蓮沼佑晃5 ・ 大高範寛5
著者所属 1名古屋大学大学院生命農学研究科 ・ 2東京農工大学大学院連合農学研究科 ・ 3名古屋大学農学部 ・ 4ノンフレーム工法研究会ノンフレーム工法研究会 ・ 5日鉄建材株式会社日鉄建材株式会社
キーワード 植生密度, 斜面崩壊, 土砂流動性, 室内実験, 土壌水分
Key word Vegetation density, Landslides, Sediment mobility, Flume experiment, Soil Water contents