第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

防災・水文部門[Forest Disaster Prevention and Hydrology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 11:30
会場名 S21
講演番号 J-9
発表題目 山地流域における豪雨時の流出応答を長期観測データから評価する
Evaluating runoff response to heavy rainfall in mountain watersheds from long-term data
所属 東京大学
要旨本文 豪雨時の山地河川の流出応答はデータ取得が困難で依然として不明な点が多い。そのような中、生態水文学研究所の白坂流域(88.5ha)では100年近く観測が継続されそこには豪雨時のデータも含まれる。これまでにひとあめ雨量約300ミリを超えると花崗岩からなる流域でも降雨強度と流出強度がほぼ等しくなることがわかった。この状態において流域内で何が起こっているのかを解明するために、過去の記録を精査し、白坂流域内に入れ子状に配置された北谷(1.18ha)や北谷の谷沿い上・下2箇所ある井戸の地下水位の1分~1時間間隔のデータを整理した。1961年6月の豪雨時(総降水量が567mm)には、降雨ピークに対して流出ピークの遅れが北谷でほぼ0分、白坂流域でも20分以内であった。白坂流域では、流出ピークの到達時間が北谷に比べて15~17分遅れたものの、比流量はほぼ同じであった。降雨強度=流出強度となる期間中には、地表近くまで上昇した谷沿いの地下水位の変化がほとんど見られず、水面勾配もほぼ一定であったが、流域からの流出量は降水量の変化に応じて0.6~1.6 mm/5minと2倍以上増減した。降水の素早い流出は主に圧力水頭の伝播によることが示唆された。
著者氏名 ○浅野友子1 ・ 岸本光樹1 ・ 芳賀弘和2
著者所属 1東京大学大学院農学生命科学研究科 ・ 2鳥取大学農学部
キーワード 降雨、流出データ, 花崗岩, 地下水位, ピーク遅れ, 直接流出量
Key word rainfall runoff data, granite, groundwater level, peak lag time, direct flow