第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Zoology and Entomology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 10:15
会場名 S22
講演番号 L-5
発表題目 齧歯類による分散型貯食は森林火災後の植生回復に貢献するか?
Do scatter-hoarding rodents assist post-fire forest recovery?
所属 京都大学
要旨本文 森林火災に伴う高温は、更新段階で土壌表面に散布された植物種子の生存にとって致命的であり、発芽を大きく阻害すると考えられる。種子散布の中でも、齧歯類は入手した種子を地中に埋めて保存する性質(貯食)によって種子を散布することが知られている。特に、少数の種子を地表から浅い場所へ分散させて埋める分散型貯食では、種子が発芽に適した深さに埋められるため、種子散布への貢献が大きい。しかし、森林火災後の植生回復における齧歯類による分散型貯食の効果を調べた研究はほとんどない。本研究では、森林火災が深刻化しているマダガスカル熱帯乾燥林において、齧歯類による分散型貯食が、森林火災後の種子発芽にどのように影響するのかを検証した。具体的には、燃料となるリター量を操作して小規模な火災シミュレーション実験を行い、土壌表面に置いた種子と齧歯類が貯食型散布する深さに埋めた地中の種子で、燃焼後の種子発芽率を比較した。いずれのリター量の条件においても、地中に埋めた種子の方が地表表面に置いた種子よりも高い発芽率を示した。齧歯類による分散型貯食によって地中に埋められた種子は、森林火災後の植生回復に貢献する可能性が示唆された。
著者氏名 ○大河龍之介1 ・ 北島薫2 ・ 佐藤宏樹1
著者所属 1京都大学大学院アジア・アフリカ地域研究研究科 ・ 2京都大学大学院農学研究科
キーワード 動植物間相互作用, 火災生態学, 森林更新, 貯食型種子散布, 埋土種子
Key word Plant-animal interaction, Fire ecology, Forest regeneration, Synzoochory, Seed bank