第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

動物・昆虫部門[Forest Zoology and Entomology]

日付 2025年3月22日
開始時刻 10:30
会場名 S22
講演番号 L-6
発表題目 ツキノワグマによるガンコウランの垂直種子散布:酸素安定同位体による推定
Vertical seed dispersal of Empetrum nigrum var.japonicum by Asiatic black bears: estimation using oxygen stable isotopes
所属 長野大学
要旨本文 高山植物の気温上昇に対するレジリエンスは、生育に適した気温の高標高へ種子が散布されるかどうかに影響を受ける可能性がある。本研究では、高山植物であるガンコウランの種子がツキノワグマによって高標高へ散布されるかどうかを、種子の酸素安定同位体比を分析することで推定した。調査は浅間山で2017年から2019年にかけて行った。森林限界周辺の標高1400m~2370mの標高差970mの間に幅100mのトランセクトを設置し、月に2回、クマの糞を採集した。また、標高1348m~2278mの標高差930mを50m間隔に区切った22地点でガンコウランの種子を結実木から直接採取し、種子中の酸素安定同位体比を分析することで、糞中の種子の酸素安定同位体比からその親個体の標高を推定するための検量線を求めた。ガンコウラン種子を含んだクマの糞は標高1415m~2093m間で3年間に140個採集された。各糞からランダムに種子を1個ずつ選び出し、酸素安定同位体比を分析した。その値を検量線に当てはめて、その親個体の標高を推定し、垂直方向の散布距離を算出した。その結果、散布距離は年によって有意な違いが認められず、いずれの年も種子は高標高に偏って散布される傾向が認められた。
著者氏名 ○高橋一秋1 ・ 直江将司2 ・ 綱本良啓3 ・ 陀安一郎4 ・ 原口岳5 ・ 高橋香織6
著者所属 1長野大学環境ツーリズム学部 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所 ・ 3北海道立総合研究機構産業技術環境研究本部 ・ 4総合地球環境学研究所 ・ 5大阪府立環境農林水産総合研究所生物多様性センター ・ 6信州大学遺伝子実験部門
キーワード 糞分析, 高山帯, 浅間山, 地球温暖化
Key word scat analysis, alpine zone, Mt. Asama, global warming