第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 14:15
会場名 S32
講演番号 M-10
発表題目 岩手県奥州市のアカマツ1林分におけるマツ材線虫病の局地的自然終息
Natural subsidence of pine wilt disease epidemic in a Pinus densiflora stand located in Oshu City, Iwate Prefecture
所属 (国研)森林研究整備機構森林総合研究所
要旨本文 マツ材線虫病被害の拡大様相は近接したマツ林間でも異なる場合がある。最終的にマツがほぼ枯れ尽くすような林分がある一方で、寒冷な東北地方では、相当数のマツが維持されたまま林分内での被害拡大が鈍化ないし停止する状況も見受けられる。演者は、2014年より岩手県北上市のアカマツ1林分で材線虫病罹病枯死木の発生動態と林分内でのマツノマダラカミキリ成虫の発生数を調査し、少数ながら継続的に発生していた罹病枯死木が2021~22年に0本となったことから、当林分での材線虫病は自然終息したと判定した。この間のごく初期を除き、林分内でのカミキリ成虫の発生はないか極めて少なかったことから、確認された少数の罹病枯死木は調査開始当初までにマツノザイセンチュウを伝播されて潜在感染状態となっていた木の時間遅れ発症によるものと推定した。また、この間の罹病枯死木は当年枯れより年越し枯れが多い傾向があり、年越し枯れ木はカミキリの産卵対象とならないことが多いため、林分内でのカミキリの増殖を抑制する方向に働いたと考えられる。ただし、2023年には罹病枯死木が再発し、外部からのカミキリ成虫の飛来により終息状態は解除されたものと考えられた。
著者氏名 ○中村克典
著者所属 国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所東北支所
キーワード マツ材線虫病, 自然終息, 潜在感染木, 媒介昆虫成虫の活動期間
Key word pine wilt disease, natural subsidence, latent-infected tree, flight season of vector insects