第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 15:00
会場名 S32
講演番号 M-13
発表題目 拡大造林期に発生していたスギ赤枯病菌の遺伝的多様性
Genetic diversity of Passalora sequoiae isolated in the 1960s to 1980s
所属 森林総合研究所 九州支所
要旨本文 スギ赤枯病は子嚢菌類のPassalora sequoiaeを病原とするスギの重要病害である。本病原菌は1900年代初頭に北米から輸入した感受性針葉樹苗に付随して持ち込まれた侵入種と考えられているが、国内における本病原菌の遺伝的多様性は不明である。本研究は、1951年~1987年にかけて採集された菌株を用いて、拡大造林期における本病原菌の遺伝的多様性を把握することを目的とした。北海道から鹿児島県にかけて21都道県で採集された58菌株を本研究に供試した。供試菌株のrDNA ITS、LSU領域およびactin、EF-1αとrpb2遺伝子の部分塩基配列を解読して比較した。また、系統の異なる2菌株についてドラフトゲノムを解析し、マイクロサテライト領域の多型マーカーを40種類作成し、供試菌株の遺伝型を調べた。その結果、ITS、LSU、EF-1αの配列は菌株間で一致したものの、actinおよびrpb2では2系統に分かれることが示された。さらに、マイクロサテライト領域の39マーカーでは2つの遺伝子型のみだったが、1マーカーでは7つの遺伝子型が検出された。これらの結果から、国内に分布する本病原菌の遺伝的多様性は低いものの、少なくとも遺伝的に異なる7つの系統が存在することが明らかとなった。
著者氏名 ○安藤裕萌1 ・ 鈴木浩之2 ・ 升屋勇人3
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所 ・ 2新潟食料農業大学 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域
キーワード 赤枯病, 遺伝的多様性, SSR
Key word needle blight, genetic diversity, SSR