第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 15:45
会場名 S32
講演番号 M-15
発表題目 スギ苗木病害の再評価
Re-examination of seedling diseases on Japanese cedar
所属 (国研)森林研究・整備機構・森林総合研究所
要旨本文 スギ人工林の半数以上が本格的な利用期に入り、また、スギ花粉症対策で無花粉スギへの植え替えが求められている。そのため再造林に必要な苗木の需要は大きく高まっている。一方で苗木の得苗率に影響する苗木病害の被害は、鑑定依頼等で多く対応する中、少なくないと考えられたが、実際の実態については十分明らかではない。そこでスギ苗木病害の被害実態について調査していたところ、これまでの知見の多くが時代遅れであることが分かってきた。まず、スギ苗木の根腐れについて検証したところ、スギ水耕苗根腐病として知られていたPythium sp.ではなく、非常に様々な卵菌類が検出された。また根腐れを引き起こすFusariumはこれまでF. oxysporumとされていたが、分類体系の改変により、実際には異なる種類であることも分かってきた。その他、葉枯れを引き起こすペスタロチア病の原因菌Pestalotiopsis属、くもの巣病として報告のあるRhizoctoniaは現在複数属種に分けられており、実際にどの種類がスギ苗に病害を引き起こすか全く不明なままである。以上のことから、スギ苗木病害の分類や実態、病原性について多くが再検討が必要であることが明らかとなった。
著者氏名 ○升屋勇人1 ・ 服部友香子1 ・ 安藤裕萌3 ・ 市原優2
著者所属 1国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所きのこ・森林微生物研究領域 ・ 2国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所関西支所 ・ 3国立研究開発法人 森林研究・整備機構 森林総合研究所九州支所
キーワード 苗木病害, 根腐れ, 分類, スギ
Key word seedling diseases, root rot, taxonomy, Cryptomeria japonica