第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

微生物部門[Forest Microbes]

日付 2025年3月22日
開始時刻 17:00
会場名 S32
講演番号 M-19
発表題目 ムネアカオオアリから分離される酵母は、”樹液酵母”なのか?
Are the yeast species isolated from Camponotus obscuripes 'sap yeasts'?
所属 理化学研究所バイオリソース研究センター
要旨本文 演者らは、樹液中の酵母(樹液酵母)の生態を解明することを目的に、2019年7月と2021年7月に福島市内で採取したコナラおよびミズナラの樹液から菌類を分離したところSaccharomyces cerevisiae, Torulaspora delbrueckii などが様々な組み合わせで優占していた。「樹液に集まる昆虫の共生菌の一部が樹液酵母である」と仮説を立て、樹液に頻繁に見られるムネアカオオアリについて、2022年8月と2024年10月に福島市内で採集した計14個体から希釈平板法により菌類を分離して検証した。分離培地上でコロニーを目視により識別・計数した後、画線による純化を行って菌株を確立し、MALDI-TOF MSによって識別の確かさの検証と菌種の推定を行った。その結果、ムネアカオオアリの随伴酵母種は、2022年採集の個体では未記載のWickerhamiella属菌とT. delbrueckii、2024年採集の個体ではLachancea fermentati, Hanseniaspora valbyensis, Pichia kurtzmanianaがそれぞれ優占しており、いずれも樹液中の種構成とはかなり異なっていた。出現頻度の低さからT. delbrueckiiがムネアカオオアリの主要共生菌かは疑わしく、樹液酵母と昆虫の関係についてさらなる検討が必要である。
著者氏名 ○遠藤力也 ・ 堀山麻衣子 ・ 大熊盛也
著者所属 理化学研究所バイオリソース研究センター
キーワード 樹液, 好樹液性昆虫, 酵母生態
Key word sap, sap insects, yeast ecology