第136回日本森林学会大会 発表検索

講演詳細

造林部門[Silviculture]

開始時刻 ポスター発表
講演番号 PE-1
発表題目 海岸林におけるクロマツ種子散布量の違いとその要因
Factors affecting differences of black pine seed dispersal in coastal forest
所属 秋田県林業研究研修センター
要旨本文  海岸クロマツ林は沿岸地域の減災を担う重要な生態系インフラである。その造成に天然更新という手法を活用できれば、コスト削減につながることが期待されるが、技術として確立されていないのが現状である。本研究ではクロマツの天然更新の重要な要素である種子散布量に着目し、秋田県の3地域の海岸クロマツ林に複数の調査区(100~400 m2)を設け、シードトラップにより種子散布量を7シーズン調査した。その結果、クロマツ種子散布量は地域レベルだけでなく、調査区レベルでも年変動を示し、それらは地域毎に異なる挙動を示した。調査区ごとの種子散布量の期間平均値を予測するモデルとして最良であったのは調査区のBA(符号は正)と立木密度(符号は負)のみのものであった。BAはサイズの概念を含む。個体サイズが大きいほど種子生産能力が高く、さらには大きい樹冠面積によって受粉効率が向上するためにBAが選択されたと考えられる。立木密度は海からの距離が近いほど高くなる傾向にあることから、汀線からの距離を間接的に反映していると推察される。これらのことから、当該モデルは海岸林帯の任意の位置の種子散布量ポテンシャルを示していると考えられた。
著者氏名 ○新田響平
著者所属 秋田県林業研究研修センター
キーワード 海岸林, クロマツ, 種子散布, 天然更新
Key word coastal forest, black pine, seed dispersal, natural regeneration